山らぶ

山が好きすぎて困っています。

神様仏様利尻様

利尻いきたいいきたいいきたーい!

バリエーションやりたーい!

東陵と東北稜なら我々にも!

という目論見のもと、青鬼試される大地支部を頼って再び北海道へ。

……のつもりが、出発直前にメンバーのうち1人、都合がつかなくなってしまった。

まあ、でも2人でも行けるよねということで、GW前に雪練をやってGWにバリエーションを狙う計画はそのままでいくことに。

 

この、雪練のためと思って行った利尻が、図らずして今回の遠征唯一の山行となりました。

 

土日を使い、土曜日は雪練、日曜日は北陵からのアタックという計画。

朝一番のフェリーで、いざ稚内港を出発です。

二等船室では乗客みなさん爆睡。

船室で喋ると迷惑だから喋っちゃだめと言われてしまい、私も爆睡。

途中、トイレに行こうと目を覚ますとそこには……

!!!!!

f:id:minapo_yama:20130420080211j:plain

り、利尻………!!!!!!!!!

 

思わず叫んでしまいました。 

 

正直、なめてた。

実物がこんなにもかっこいいものだとは思わなかった。

ただただ神々しく、息をのむ美しさ。

これが…利尻……。

 

フェリー側からはちょうど東北稜と東陵が見えます。

声にならない興奮と憧憬とで目は皿のまま、隅々まで舐めるように利尻を見回す。

こんな山に登れるだなんて身震いするほど幸せだと思いました。

惚れた。

(※注:まだ上陸すらしてない)

 

鴛泊に着いたら早速登り始めます。

f:id:minapo_yama:20130420110732j:plain

例年より雪が多く、まだまだ厚々と残っていたけれど、締まっていて歩きやすい。

わかんをはいて快適に歩いていきました。

f:id:minapo_yama:20130420112744j:plain

前日に降ったらしき霰が雪面に浮いていてかわいい。

f:id:minapo_yama:20130420173654j:plain

今日は北陵の下部に泊まることにして、さっそく向かいに見える斜面で雪練です。

支点構築、各種ビレイ、タイムを計りながらのマルチピッチロープワークなどを日が暮れるまで反復練習。

f:id:minapo_yama:20130420173958j:plain

利尻とじゃれ合って冷笑を買ったりもしつつ。

f:id:minapo_yama:20130420131023j:plain

雲の上に傘雲。こんなんあるんだ……

 

翌朝は、パートナーの体調が悪く出発は遅めの時間に。

f:id:minapo_yama:20130421063616j:plain

出発時から怪しい雲行き

f:id:minapo_yama:20130421074838j:plain

終始猛烈な風と吹き飛ばされてくる雪とで、だんだん真っ白な世界に。

時々わずかに得られる視界を頼りに高度を上げていきます。

利尻はこんなもん、らしいです。

ほう。

とりあえず2人とも全身エビの尻尾ができていました。

モナカ雪ではあったけれど幸いそれほど深いラッセルはなく(一番深いところで太ももくらい)、順調なペースで稜線に出ました。

 

稜線ではさらなる強風。

命の危険をギリギリ感じないくらいの、強風。

全身で風を受けて!

風上に向かって身体を傾け、アイゼンをきかせながら一歩一歩進む!

たぁああぁぁぁああーーーーのしいっっっっ!!!!!!!

冬山はこうでなくっちゃ!!

こー、ごーえそーうな、きせーつーに、きーみは〜!

……すいません、危ないので写真は撮ってません。

 

f:id:minapo_yama:20130421120037j:plain

 で、山頂、視界なし。

f:id:minapo_yama:20130421114330j:plain

お、晴れてきたぞ! ロウソク岩が……(心の眼)

 

40分ほど山頂にいて粘ったものの、晴れる兆しもないのですごすごと下山。

気を取り直してぽてぽて歩いていたら、晴れてきた。

空と、海と、純白の利尻と。

f:id:minapo_yama:20130421125013j:plain

「白鳥はかなしからずや 空のあを海の青にも染まずただよふ」

f:id:minapo_yama:20130421160110j:plain

山頂で視界が得られなかったのは少し残念でしたが、利尻はただただ凛として美しい山でした。

惚れ込む人、憧れる人が後を絶たないのも頷けます。

ここは、特別な山だ。

 

結局、急用ができて翌日の飛行機で帰らねばならなくなり、GWのバリエーションは取りやめに。

たった4日間の短い北海道でした。

f:id:minapo_yama:20130421174300j:plain

フェリーから見えなくなるまでずっと、甲板から別れを惜しんでいた。

f:id:minapo_yama:20130421182911j:plain

また絶対に来るよと夕陽に誓う。