鈴鹿・矢原川不動滝で初めての大滝登攀〜寝覚めを拉致られて〜
金曜日。
黒部の翌週ということもありこの土曜日は布団にひきこもっていようと思っていたところへ、Fくんからメールが。
「あしたKNJRさんと大滝登攀行くんですが一緒にきません? 登る場所はまだ決まってないです」
いやいや、まあ沢は好きだけども私登攀とかできないし誘うひと間違えてんじゃないのあーだこーだと言ってはみたものの、Fくんは私の吝かでなさを汲み取っていたらしい。
20時になっても明日の詳細連絡こないのでほっと胸をなで下ろし、久々の平穏な休日に思いを馳せながら安らかな眠りについていたところへ・・・
ピーンポーン
はっ! 朝6時。誰…
ピーンポーン
えっと? えっと?
女性の一人暮らしだしとりあえず警戒して居留守つかっていると、電話がかかってきた。
Fくんから。
「いま家の前にいます、もう準備して待ってます」と。
来てるんかい!!!!!
てか本気やったんか……
慌てて起きて身支度をしてパッキングする、その間20分。
なんかよくわかんないっていうか大滝登攀なんて初めてだし怖いけど初めてだからワクワクする。なんだこれ。
しかも晴れてて暑くて沢日和。
*
若くて生きの良い2人の沢談義をふんふんと聞きながらレンタカーで鈴鹿へ。
矢原川の不動滝という100 m滝を登るらしい。
「大滝登攀とか沢登りとおんなじですよ〜」というKNJRくんの言葉。信じるしかない。
大滝までは、新緑の沢をサクサクと進んでいく。
大滝の下部を途中までフリーで登り、スラブの始まる場所からロープを伸ばすことにした。
取り付きからは寝ているように見える。
私はカメラマンに徹する!と宣言し、リードのじゃんけんにも加わらなかった(^_^;)
いつかできるようになりたい・・・。
1ピッチ目はFくんリード。
ランナーの取れないスラブで苦戦していた。
待っている方は呑気に応援。
恋チュン歌ったり翼をください歌ったりしていたがたぶん滝の音でかき消されて聞こえていなかった。
右の立木に支点を取ってFIXしてもらい、KNJRくんに本場のユマーリングを習いながら上へ。ここはユマーリングするより登るほうが楽な気もしたけれど、新鮮で楽しいので最後までユマーリングで通した。
Fくんは気持ち的にだいぶお疲れの様子。
2ピッチ目はKNJRくんリード。
さすがの堂に入ったクライミングで、フムフムと見入る。
2ピッチ目の終了点から下を覗くと、白い岩に小さな釜が浮かんでいてきれい。
人に伸ばしてもらったロープを辿っているだけとはいえ、滝のど真ん中のヒミツを見てしまったようでぞくっとした。
3ピッチ目もKNJRくん。
立っていて、いかにもぬめってそう。
と、いきなり出だしで苦戦する。やはりヌメヌメらしい。
ホールドも悪く、支点も取れず、あれやこれやとルートを探るけれどどれも厳しい……。
結局、唯一入った浅効きのハーケンを支点に振り子トラバース。
ものっっすごく怖そうだった。
こんなツルツル、支点がすぽっと抜けたらグラウンドフォールだよ……。
なんとか対岸にしがみつき、いかにも悪そうな泥壁を登っていった。
すごい。強い。山力だ。(小並感)
終了点にはまたロープをFIXしてくれたのだが、振り子トラバースに使った支点を回収していくとなると、一旦上がってロープが伸びきる分まで降りなければいけない。このツルツル壁じゃホールドもスタンスもなくて、ロープ一杯まで落ちること請け合いである。こわい。
結局、私とFくんは支点だけ回収し、対岸へは行かずにそのまま右岸の尾根を巻いた。最後の1ピッチで痛恨ではあるけど、背に腹は代えられない。
落ち口で落ち合ったKNJRくんからは「せっかくロープ伸ばしたのに! 気をつけてくればいけるよ! 落ちてもグラウンドフォールしないんだからいいじゃん!」と駄目出しを食らう。。
たしかに、ここで緊張感をもって乗り切ろうという気概がなかった。というか完全なフォロワー気分でそんな覚悟がなかった。甘え、よくない。
滝を登り終えると結構いい時間。日も傾いてきた。
詰めと下山を急ぐ。
登山道までの詰めの尾根は一面イワカガミが咲き誇り、踏まないように歩くのが大変だった。
崩壊した小屋やら
滝を見物。
しかしKNJRくん、辺境クライミングの第一人者とあって岩壁やら大岩にはやたらと敏感に反応する。
最近行ったという鹿児島の甑島の話なんかもすごく面白い。好奇心旺盛すぎる、というかどこからそんなネタ見つけてくるんだ。
ちなみに、ここの下山に使う林道の近くには立派なルーフクラックがあるらしい。
キョロキョロ探しながら下山していたけれど、結局どれなのかわからなかった。
対岸にマルチピッチできそうなほど立派な岩峰があったのは確かだけれども、アクセスは藪漕ぎなんだろう。
それにしても刺激的な一日でした。
翌日はFくんとポカポカクライミングしにいったけれど、特に頑張ってもいないのにヨレヨレで岩を登るモチベーションなんてほとんど残ってなかったよ。
いい、週末でした。
また彼らと沢行きたいなぁ。