青鬼と馬目さんに出会う@八ヶ岳アイス
鳳凰三山から下山した翌日は青鬼の人たちと八ヶ岳へアイスクライミングをしに行きました。
大同心大滝なるところで登って、アイスキャンディフェスに参加するという。
ひょんなことから山岳同人青鬼の仲間に入れてもらって、ありがたいことに早速お誘いいただいたのです。
嬉しくてほいほい行っちゃいました。
……とはいえ、みなさん初めてお会いする方ばかりなので少し緊張。
車の中で、I田山御大から青鬼メンバーの変態っぷりについての予習レクチャーを受け、とりあえずびびりながらいざ。
わたしだけ縦走帰りのでかザックだけど、みんなコンパクトな荷物でしゃかしゃか歩いていかはります。
ん……、ビーコン持ってきてるの私だけ……?
これが噂に聞くLight & Fastスタイルってやつか。
「多少の荷物はボッカすればいーじゃん」くらいにしか思っていなかった私はなんとなくのろのろで、少し遅れをとってしまいました。
軽量化って素晴らしいんだろな。もうちょっと真面目にやろう。
そんなこんなで大滝到着。
やたら暖かいので心配でしたが、ちゃんと凍ってました。
滝直下は急斜面なので、バケツを掘って身じたく。やまねクラブのYさん、Sさん、Lさんも一緒に。
右の変態ラインを、Fぁんくさんがリード。
こっから…
どきどき……
おおおおおおナイスランナウト!!!!!
緊張感と、気迫というか、魂みたいなものがこちらまで伝わってきて、ドキドキしました。しびれるってこういうことかぁ。
私もトップロープで登ったけれど、最後のとこが突破できなくてだめでした。
核心が抜けらんない。
他の方々はとてもお上手でした。
Yさんは超スピードであっという間に落ち口へ。
おちゃめなSさんとTかぎあつこちゃんも華麗にクリア。
I田山御大も、落氷に悩まされつつひょひょいと。
Lさんは血をたぎらせて、中央付近のラインをオンサイト。
みんなしゅごい……。
登っているとき、どうやって登ろうかというのと同じくらいかそれ以上に、私だけクライミング初心者で時間がかかっちゃってごめんなさいって気が引ける気持ちが大きくて、力が足りない悔しさと相まって全然集中できませんでした。
北海道では、何度落ちても諦めずに、まだまだ! 絶対登るんだから! としがみつく図太さを発揮していたというのに、初対面の人に囲まれたとたんにこれです。
自分に言い訳を作って遠慮して気が引けてしまうの、本当に良くない。
たぶんきっと青鬼の人たちは、そんな無駄な気遣い必要としてない。
もっとまっすぐになりたいな、と思ったのでした。
日が暮れる前に下山して、
小屋に帰ってごはんを食べたら、
山岳救助のビデオ上映会。
遭難した方のご遺体、救助の様子などまさしく現場のそのままの有様が流れ、救助隊の方の思いが語られました。
亡くなった人間の姿は、生きている人間の姿と同じくらいに物語るものがある。
本人はどんな気持ちで亡くなっていったんだろうか、ご家族はどんな思いだっただろうか、など考えると胸がつまって涙が止まりませんでした。
改めて、山は本当に怖い。
自分のことも周りの人のことも大切にするためにも、本当に安全に気をつけなければならないと肝に銘じました。
次はお待ちかね、馬目さんによるキャシャール南ピラーの報告!!
細くて、穏やかで、おちゃめな方でした…
強い男は優しいってさっきもSさんが言ってたな、こんな旦那さんが理想だな〜
とかいうのは置いといて、公開されている動画にはない登攀時の心境や装備などについても聞くことができて、すごく面白かった。
なにより、こんなすごいことをやってきた人が、目の前でニコニコしながらその様子を語ってくれているということに興奮しました。
遠い世界のような、近い世界のような、近づくことがもしかしたらできるかもしれない世界のような。
自分の作ってしまっている世界の枠が、ちょんちょんとつつかれたような感触がしました。
これからもっと世界を押し広げていこうっと。
翌日のアイスクライミングフェスでは、またとない機会だと思い、勇気を出して馬目さんに話しかけてみました。
キャシャールの詳しい話を聞いたり、装備やウェアをじろじろ見させてもらったり、山を本格的に始めた頃の話を聞かせてもらったり。
心からわくわくする楽しいひとときでした。
ノースのオーバーパンツが穴だらけなところだけは私とお揃いだった!
にひひ。
ミーハーで申し訳ないとは思いながら、一緒に写真を撮ってもらって。
なんて大らかで優しい人なんだ……。
一緒に撮った写真は、当たり前ですが、秘蔵です。
こんなとこに載せないよ。てへ。
東京への帰り道、I田山さんに車で送ってもらいながら、山のことをいろいろお話しました。
山に惚れ込んでただただ純粋に求めている気持ちを持ってはって、すごく共通するものを感じて、嬉しかった。
また一緒に登りたいな。
そのほかに、今回覚えたこと。
壱、アックスはウェアに触れたら切れるくらいぎゅいんぎゅいんに研ぐべし(by Fぁんくさん)
弐、CassinのX-dreamが素晴らしい(馬目さんほかみなさん絶賛)
参、『男はやっぱりアルパイン』(by Lさん)
今回は、いい出会いが盛りだくさんでした。
本当にありがとうございました。
思いを同じにする仲間を作って、
これからもっと、もっと、山と深く触れあっていきたい。
流氷を背に滝登り♪
2月の北海道ではもう一つ、別の場所でもアイスクライミングをしました。
網走の能取岬です。
なんでも、岬の観光客を尻目に懸垂下降して流氷の上を渡り歩いて行くのだそうな。
流氷とかほんとにあるんや! しかもその上に乗って歩いて行ったら凍った滝があるとは何事!?
な、試される大地クオリティ。
南国育ちの常識が心地よく打ち砕かれていく。
んで、何食わぬ顔でさくさくと進む地元山岳会のクライマーの方々に遅れを取らぬようてくてくついていくと、
ででーん!
落差60 m弱の大きな氷瀑。
何という滝ですか? と聞くと、名前はないねー。と。
こんな規模の滝が無名滝……。
能取岬には、大小の滝がたーっくさんあるらしい。
流氷の上で準備をするクライマー。風が強くてめちゃくちゃ寒い。
中には大学に入ったばかりの青年も。
こーんな絶景を横目に見ながら、
トップロープを2本張って登りました。
おっちゃんから「アイスクライミング初めての人がこんなとこ来ちゃったらだめだよー!」と苦笑されつつ、来ちゃったものはしょうがない。
コツを教えてもらいながら登りました。
右側のルートでは中央の核心部を抜けるのに苦労して、3トライ目でようやくトップアウト!
こちらが、
滝のてっぺんからの、
眺めであります。
空には全長3 mはあろうかというオオワシやオジロワシが飛び交い、振り向けば見渡す限りに海を埋め尽くす流氷。
最高!!
ここは本当に地球なんだろうか。
(カメラ持ってくの忘れたので、写真はあとで登った人に撮ってもらったものですがw)
左側のルートは、4 mのシャンデリアをどうしても抜けることができなくて、上まで行けませんでした。くやちい。。
潮水混じりの滝は緩むのも早く、午後3時ごろにはグサグサになってきてこの日は終了となりました。
初めて会ったのにもかかわらず温かく仲間に入れてくれ、華麗なるクライミングを見せてくださった地元山岳会の皆様に感謝!!
ほかにも、流氷が流れ着く時期は擬似的に陸が広がった形になり、気候も内陸性のものに変わるのだとか、流氷の流れ着いている時期しか行けない能取のアイスは地元のクライマーにとっても貴重な存在なんだとか、夏の間に漁船でいい滝はないかと偵察してるんだとか、秀岳荘でノミックを二万円台で買っただとか、北海道人は冬に氷点下なのは当たり前だからいちいち「マイナス」をつけないとか、面白い話を色々と聞くことができて楽しかった。
何より、九州と本州しか見たことのなかった私にとって、北海道は異世界すぎて目に映る全てのものがメッセージ状態。
帰り道に猛吹雪の中を時速80 kmで飛ばしていく除雪車には度肝を抜かれました。
あと、塩別のつるつるの湯という温泉がめっちゃよかった。
初めての試される大地遠征、なまった体と脳がすっかり目が覚めて、山に登らなかったというのに北海道の虜になってしまいました。
また来るよー!
鯉しちゃった@層雲峡
2月上旬、論文の公聴会を終えるや否や飛行機に飛び乗り、念願の北海道へ。
初めての北海道。
研究室の後輩から「滝登るものとか、あたし、鯉くらいしか知らないんですけど……」とドン引かれながらの出発です。
ずっと外で遊べなくてたまりにたまっていたので、新千歳に降り積もる雪だけでもう、テンションうなぎ登り。
ひゃっほーぅい!!
本当は大雪の山に登る予定だったけれど、翌日はどうも天気が悪そう……
というわけで、層雲峡へ行ってアイスクライミングをしました。
朝は寝坊して9時。
マイナス20°Cの凍てつく寒さの中、七賢峰の滝にトップロープを張りました。
車道からは40分ほどのアプローチなのだけれど、銀河の滝などのもっと有名でアクセスのいい滝にみんな行っているのか、他に誰もいなくてとても静か。
初めてのアイスクライミングが層雲峡の滝貸切だなんて、贅沢すぎるにも程があります。
おニューの縦爪アイゼンに中古のアックスで、いざ。
こ…こわい。
滝、そびえたってる。
それに、アックスがね、刺さらないのなんのって。
剣道やってたから棒的な何かを振る力はそれなりにあるかと思っていたけれど、
硬すぎる氷にパキーンパキーンと跳ね返され続けているうちにあっけなくパンプ。
うきゃー楽しい!
燃えちゃう!
落ちたりテンションかけてもらったりしながらもなんとか2トライ目でトップアウト。
その後2回ほど登って終了。
集中し始めるとあっという間でした。
かっこよさげに写るアングルにまわりこんで撮ってくれた。
(登っているように見せかけて実はセルフ入ってます)
夢中になって登ってるうちにすっかり暗くなっちゃって、気温が低すぎるせいでリヒトも暗い。
帰り道は暗闇の徒渉でキノコ雪踏み抜いてぽっちゃんしてしまいました。
さらにその翌週も七賢峰に行ってみると、先週我々のつけたトレースを泥棒しているけしからんヤツが……!
鹿と野ウサギです。
はい。人間の来た形跡なし。
しかも、1週間の間に滝が成長してますます堅く大きくなってる。
案の定の貸切状態で、前回より少し上に終了点を作り、前回は脆くて登れなかったバーチカルなシャンデリア部分を攻めてみたりして楽しみました。
平爪アイゼンでがんばってリード&ビレイしてくれたパートナー氏に感謝。
アイスクライミングは初めてで、最初に取り付いた時には到底登れる気がしなかったけれど、だんだん慣れてくるとすっごく楽しい。
もっとやりたい、もっともっとやりたい。
これは……もしかして:恋 鯉
安定した氷で、他のパーティーに気を遣うことなく思う存分あれこれ試したり遊んだりできて、これ以上ないくらい貴重な初体験でした。